小学校高学年向け(5年生・6年生)読書感想文におすすめの本10選

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小学校の高学年となると、本好きさんの中には中学生や高校生向け、ラノベ、文学賞受賞作品まですでに読み進んでいる子供さんもいるかもしれませんね。
今回は読書感想文におすすめというテーマなので、他者を思いやる心や命を考えることなど、少し重たいテーマでもすんなりと入り込める本や、親子・家族で話し合えるような本を中心におすすめの作品を選んでみました。ぜひ参考にしてみてください。

小学校高学年向け・読書感想文におすすめの本10選

外国から来た魚~日本の生きものをおびやかす魚たち~


外来種と聞いて何を思い浮かべますか?
一時期メディアをにぎわせたヒアリもその一種になります。他にもアライグマやヌートリア、ミシシッピアカミミガメも有名どころですね。
この本は外来種の中でも「魚」に特化した内容です。まるで初めからそこに住んでいたように息づいている外来魚たちは、本来のヌシ「在来種」を駆逐して今やその数をどんどん増やしています。
著者の松沢陽士さんは水中カメラマンという立場から、その現状に対して強い口調で外来魚を駆除しようというのではなく、原因を問い、そしてこれからの未来に向けてのメッセージを発信しています。
この本の主人公的役割はオオクチバス(ブラックバス)なので、釣りが好きな親子には特に惹かれる内容ではないでしょうか。

サケが帰ってきた!


この本は福島県双葉郡楢葉町の木戸川でサケの増殖事業に携わっている方の実話です。
サケへ賭けた情熱や労力を一瞬で奪った津波、その後の放射能問題など大変な苦労をされた様子は報道などで目にしたものとはまったく違います。
鮎やサケの稚魚の無事を祈って瓦礫の中を進む場面、全滅してしまった稚魚を見た職員の落胆した心情、泥棒に荒らされた漁協の事務所の惨憺たる有様は読んでいて胸が締め付けられます。
ですが、ここから職員たちの復興(サケの遡上の成功)へ向けてのチャレンジは始まるのです。あきらめない心の強さや「お互い様」の精神で支えあう楢葉町の人たちの底力が伝わる1冊です。
また、放射能の基礎知識についてもくわしく記載されているのもこの本をおススメする理由のひとつです!

アニマル・パスウェイ


学名「グリルルス・ヤポニクス」という名前の小さな動物をご存知ですか? 
グリルルス・ヤポニクスとは、世界で日本にしか住んでいないヤマネのことです。この本は一年を通じてのヤマネの生活が愛しさ満載で語られていきますが、やがて森林伐採の現実を突きつけられます。
人間は自然の恵みなくしては生きていけませんが、それは野生動物も同じです。分断された森を行き来するための良い案を研究者や県とが探ります。そして考え出されたのがアニマルパスウェイというヤマネが渡る歩道橋です。もちろんヤマネ以外のホンドリスやヒメネズミ、ホンドテンなどの動物も利用していて、自分たちの伴侶をみつけたり新しい餌場へと移動しています。
野生動物との共存は難しい問題ですが、環境保全と人間の生活には折り合いをつけることは可能だと教えてくれる1冊です。

犬たちをおくる日~この命、灰になるために生まれてきたんじゃない~


愛媛県動物愛護センターが舞台の本です。
センター(自治体によって名称が保健所だったりもしますが)に持ち込まれたり収容された犬たちは、飼い主が迎えに来なかったり里親が決まらなければ最終的には殺処分されます。
この本はカラー写真により犬たちの最期としてその一部が掲載されています。タイトルにもあるように「灰」になっているところも、です。
獣医師の渡邉清一さんによる淡々とした語り口調には胸が締め付けられます。処分される数、方法が具体的に語られているだけにより真剣にこの問題を考えることができると思います。
家でペットを飼っている子供、ペットを欲しがっている子供たちに命について、命をあずかるということについて改めて考えさせてくれる大切な1冊です。

髪がつなぐ物語


医療用ウィッグに使用される髪を寄付することを「ヘアドネーション」といいます。
大阪にあるNPO「JHD&C(ジャーダック)」の設立から取り組みを中心に語られています。
本来ならゴミ(産業廃棄物)として処分されてしまうカットされた髪の毛をリサイクルすることで、治療の為に髪を失ってしまった子供たちに役立てようという活動です。
また、それに賛同して活動を始めた高校生たちが実際にいて、その活動が企業を動かしたことにも驚き、感動するのではないでしょうか。
全国にヘアドネーション賛同サロンの輪が広がっているようなので、お住まいの街にもあるかもしれませんね。
医療用ウィッグがどのようにして作られるのか、そこにどんな思いが込められているのか。この本はそれを気づかせてくれる1冊です。

救助犬エリーの物語


犬エリーの視点で物語が進むので、動物が主人公の映画が好きな子供なら映画鑑賞しているような感覚で読めると思います。
生まれてから警察犬(救助犬)になるまで、そして犯人の追跡から逮捕劇という見事な活躍があり、また信頼を寄せていたハンドラーとの別れもあったりと怒涛の展開が押し寄せてきます。
さまざまな災害現場での仕事がエリーの言葉で語られるのでハラハラドキドキです!
新しいハンドラーとの信頼関係もエリーは犬なので人間のような複雑さはありません。そのことをエリーが理解していく過程も疾走感たっぷりに進むのであっという間に読み終わります。感動的なラストが待っているのも映画のようで、そこもおすすめの理由のひとつです。

レッド・フォックス~カナダの森のキツネ物語~


この本は、キツネの生態観察をもとに、彼らが実際にでくわした事件や困難をどう解決したかが小説として描かれています。自然を生き抜くための知恵と生まれたときから備わっている本能など、キツネの生態をもとにしており、ぐっと入り込んでしまう世界観がとてもすばらしい作品です。カナダの大自然の描写にも感動します。
原作が外国の作品なので翻訳本独特の語り口調ですが、そこも味があってじっくりと時間をかけて読み込んでほしい1冊です。

ケンガイにっ!


フルタイムで働く母親とゲーム三昧の子供。影の薄い父親。けれどそんな風になったのには理由があって…。運よく夏休みに突入したのを幸いに、息子の現状を思い悩んだ両親は、彼を田舎のおばあちゃんの元へ送り込むことにしたところから物語は始まります。
ゲーム漬けだった主人公は自動販売機もなく、移動販売車で買い物をするようなとんでもない田舎に面食らいます。もちろんスマホなんて圏外です!
主人公はほんとうにイマドキの子供なので、読むとどきっとする言動や行動がしばしばあり、同年代の子たちはすんなりとこの世界(田舎?)に入り込めるのではないでしょうか。
また、主人公がゲーム三昧へと陥った原因でもある幼い弟の死を軸に、おばあちゃんが作る「お食いじめ」の有り様を知り経験することで心の壁を取り除いていきます。
この本は高学年の子供はもちろん、共稼ぎで最近団らんの時間が少ないなと感じている親御さんにもぜひ読んでほしい1冊です。

シロクマが家にやってきた!


ちょっと変わった小説が読みたい子向けの本がこちらです。
障害のある弟にばかりかまう両親と、多くの我慢を強いられることで不満を募らせている兄アーサーの目の前に、ある日シロクマの「ミスターP」が現れるというファンタジー要素たっぷりの物語です。
本を開いて目を引くのはところどころで文字が躍ったり、太く大きな文字で強調されているところです。遊び心たっぷりでこれだけでもかなりワクワク感が増しますね!
このミスターPという最高の友人を得たことでアーサーは変わっていきます。思いやる心を育むにはどうしたらいいのか。その答えかもしれないものが描かれています。
友人の素晴らしさ、その友人がもたらしてくれる大切ななにかを気づかせてくれる1冊です。

絵で読む 広島の原爆


絵本のようなスタイルを取っていますが、昭和15年当時の広島市街地の様子が生存者の方の証言をもとに細かく描かれています。
衝撃的なのは原爆投下のページです。見開きいっぱいに広がる地獄絵図のようなイラストには言葉を失わせる迫力があります。
また、この本の大きな特徴といえるのは放射線被害についてわかりやすく書かれていること、核の抑止力や核の広がりについても触れられていることです。
視覚に訴えながら重要なこともきちんと押さえているので、原爆や核についても学ぶことができます。
大判サイズの本ですので、親子で読みながら意見を交わすのもいいかもしれませんね。

まとめ

夏休みというのは働くお父さん、お母さんにとってはいろいろな心配の種が出てくる季節です。
しかし、せっかくの長い休みを宿題やゲームで終わらせてしまうのはもったいない!
もちろん家族旅行もいいのですが、親子で図書館へ行ってみるのはいかがですか?
今回紹介させていただいた本以外にも、たくさんのすばらしい本に出会えるかもしれませんよ。

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