アルカリ電解水をご存知ですか?
アルカリ電解水は、界面活性剤や化学薬品を使っていないのに、油汚れを簡単に落としてしまうので、ナチュラル志向な方に特におすすめのクリーナーです。
この記事では、アルカリ電解水について、使い方や汚れを落とす原理などと共に、おすすめ商品をご紹介したいと思います。
アルカリ電解水とは?
アルカリ電解水とは、広い意味では「電気分解した水」の事を指します。
水に電気エネルギーを与えると、水素を多く含む水と酸素を多く含む水に分かれます。
これが電気分解です。
中学生の頃、理科の実験でやったのを覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで出来た水素を多く含む水が、アルカリ電解水です。
飲料水として愛飲される「アルカリイオン水」も電気分解した水の仲間です。
今回ご紹介するのは、飲料水ではなく、クリーナーとして使われる水の方です。
以下、「アルカリ電解水=クリーナー」としてお話させて頂きます。
アルカリイオン水との違い
アルカリイオン水もアルカリ電解水も、どちらもアルカリ性の水になります。
液体の性質である、酸性・中性・アルカリ性を示す「PH(ペーハー)」という値がありますが、「8.0」を超えるとアルカリ性となります。
ちなみに、酸性は「0以上6.0未満」、中性は「6.0以上8.0以下」です。
アルカリイオン水は、PH9.0~10.0で「弱アルカリ性」です。
一方、アルカリ電解水は、PH11.0~13.0の物が多く、「強アルカリ性」の部類になります。
アルカリ電解水はアルカリイオン水より、アルカリとしての性質が強いという事です。
アルカリは、油脂やたんぱく質を分解する性質を持ちますが、PH11.0を超えて高濃度になると、鹸化や加水分解が起こります。
要は、酸性の物質と化学反応を起こすという事です。
アルカリイオン水は、アルカリとしての性質が弱い為、クリーナーとしては用いませんが、強アルカリ性のアルカリ電解水は、その性質をうまく利用する事で、クリーナーとして活躍することができます。
汚れを落とす原理
汚れを落とすには「中和」という言葉がキーワードとなります。
中和とは、酸性とアルカリ性、真逆の性質の物を混ぜ合わせて、それぞれの性質を打ち消し、中性に近づける事を言います。
例えば、魚焼きグリルについたベトベト油や焦げ、グリル皿に落ちて固まった油、レンジフードの油汚れ、子供の食べこぼしで汚れた家具、クレヨンの落書き等々、これら多くの汚れは酸性です。
もうお分かりかと思いますが、アルカリの強い性質を持つアルカリ電解水を、酸性の性質を持つ油汚れや食べこぼしによる汚れに吹きかけると、アルカリの強い力で中和され、汚れが浮き上がり、落ちやすくなるという原理です。
酸性の汚れにはアルカリ性のクリーナーを、アルカリ性の汚れには酸性のクリーナーを使う事がポイントとなります。
掃除方法(使い方)
使い方は簡単です。
準備する物は、アルカリ電解水(電解水がスプレー容器に入っていなければスプレー容器)、雑巾、細かな部分をお掃除したい場合は、使い古した歯ブラシもご用意ください。
まずは、グリルに落ちた食材やトースター内のパンくずなどをあらかじめ取り除きます。
そして、汚れた場所にアルカリ電解水をスプレーし、乾いた雑巾でふきとるだけです。
汚れがひどい時は、スプレー後2~5分間位放置します。
細かな目地などの汚れは、歯ブラシを使って汚れをかき出します。
ため込んでしまった汚れは、スプレーし放置、ふき取るといった作業を数回繰り返す必要が有りますが、ちょっとした汚れであれば、力を入れてゴシゴシ拭かなくても、汚れが中和・分解されて浮き上がっていますので、さっと落とせてしまいます。
泡立ちも無く、2度拭きも不要です。
除菌・消臭効果
アルカリ電解水には、除菌・消臭効果も期待できます。
PHが12.5を超えると多くの雑菌は生存出来なくなります。
そのため、先述したようにアルカリ電解水はPH11.0~13.0なので、アルカリ電解水でお掃除する事で、除菌効果も期待できます。
除菌したい場所にスプレーし、30秒から1分放置した後、ふき取るだけです。
放置後、水洗いをすると、より効果的に除菌が出来ます。
まな板やスポンジ、子供のおもちゃの除菌にも活用することが出来ます。
また、ニオイの原因は菌の増殖と、タンパク質や油脂の変質です。
タンパク質や油脂を洗浄して取り除き、原因菌を除菌すれば、ニオイの発生も抑えることが出来ます。
ちなみに、カビの除去には効果が有りません。
カビは細菌ではありません。
カビは胞子に守られており、アルカリ電解水ではこの胞子を壊すことが出来ません。
ただし、カビを除去した後に、アルカリ電解水をスプレーしておくことで、カビが発生しづらくはなります。
使える材質と使えない材質
お手軽にお掃除できるアルカリ電解水ですが、使う材質に注意が必要です。
使える材質としては、プラスティック、ステンレス、ホーロー等が挙げられます。
使えない材質としては、アルミニウムや銅等のアルカリ性に反応する金属類、アクリル樹脂や大理石、ウールやシルク、自動車等の塗装面、革製品やガラス、液晶画面、漆器、木材等があります。
使ってしまうと変色したり溶けたりしてしまう事が有りますので、使用前に良く確認する必要が有ります。
また、コーティング加工されている部分にも適しません。
ワックスがけしている床に直接スプレーすると、ワックスが剥がれてしまいます。
濡らした雑巾にスプレーしてからお掃除すると良いでしょう。
使えない汚れ
アルカリ電解水で掃除するのに効果が薄い汚れも存在します。
それは先にも少し触れましたが、アルカリ性の汚れです。
アルカリ性の汚れは、アルカリ性のクリーナーでは中和・分解出来ないからです。
アルカリ性の汚れには、水垢、尿石・尿汚れ、石鹸カス等が有ります。
また、アルカリ性の汚れには、酸性のクリーナーが効果的です。
自然由来の酸性素材には、クエン酸が有名です。
危険性と注意点
アルカリ電解水は、界面活性剤を使用していないから安心だと思う方もいらっしゃるでしょうが、使用する際には少し注意が必要です。
アルカリ電解水は、PH11~13で強アルカリ性です。
一方、人の皮膚(皮脂膜)のPHは、弱酸性です。
そのため、弱酸性の皮膚に強アルカリ性の液体が付着すると、皮脂を落とし、肌を傷める可能性があります。
従って、アルカリ電解水を使う際には、手袋の着用をお勧めします。
目に入ったり、飲み込んだりしても大変危険です。
特に小さな子供がいる家庭では、注意して取り扱う必要があります。
セスキとの違い
ナチュラルクリーナーの代表格である「セスキ」との違いについて、少し触れたいと思います。
セスキをご存知の方も多いかと思いますが、セスキとは「セスキ炭酸ソーダ」の事です。
トロナセスキ鉱石という鉱石を原料に使用します。
アルカリ電解水がPH11~13に対し、セスキ炭酸ソーダはPH9.8です。
弱アルカリ性なので、手荒れの心配が少なく、重曹よりも使いやすいという評価を得ています。
同じアルカリ性クリーナーなので、得意な汚れの種類は同じですが、使用感としては、セスキ炭酸ソーダはひどい汚れの場合、「スプレーしゴシゴシ擦る」を何回か繰り返すのに対し、アルカリ電解水は一度で落とせてしまうといった違いが有ります。
汚れのレベルで使い分けるのがおすすめです。
おすすめ商品
アルカリ電解水を実際に使ってみたいと思った方の為に、おすすめの商品を紹介したいと思います。
水の激落ちくん
レック株式会社が販売している商品です。
パッケージを見て分かった方もいらっしゃるかもしれませんが、水だけで落ちるメラミンスポンジで有名な「激落ちくん」の姉妹品です。
PHは12~13と記載されています。
超電水 クリーン シュ!シュ!
表面処理の技術開発と販売を行っている株式会社ケミコートの商品です。
メーカーのサイトを見ると、「水100%だから口の中に入っても大丈夫なんです!」と書かれていましたが、PHは「12.5」と記載が有りましたので、その点は注意が必要です。
PHが高い分、購入者の口コミにも「他社の製品より落ちが良かった」という声が多いです。
アルカリ電解水クリーナー 水ピカ
有限会社アール・ステージの商品です。
PHは13.1で、業界最高水準の濃度と謳っています。
PH12.5の商品の5倍の濃度の為、水で5倍に薄めてもPH12.5の商品と同じなのでお得です。
作り方
アルカリ電解水は、実はご自宅で簡単に作る事も可能です。
厳密には、紹介してきたような電気分解して作る方法ではありません。
作り方は簡単で、水にアルカリ性物質を混ぜるだけです。
例えば、市販されているアルカリ性物質の炭酸カリウム(PH11)を使う場合、ご家庭の水に0.5%程度炭酸カリウムを混ぜれば、アルカリ電解水の出来上がりです。
ご自分で作られた方が割安になると思いますので、是非一度お試しください。
まとめ
いかがでしたか?
化学物質を使っていない水だけの成分で、頑固な油汚れがぐんぐん落ち、その上、除菌や消臭効果もあるなんて、今まで以上に楽しくお掃除が出来てしまいます。
アルカリ電解水の性質を良く理解した上で、うまく活用しましょう。